上尾市のはぎむら眼科による斜視について

11月に入り、最近、当院には、来年、小学校の1年生を迎えるお子様がたくさん来院されています。来院理由としては視力低下・斜視の疑いなどを就学時健診で指摘されたためです。

視力低下や斜視は、3歳児健診や就学時健診で発見されることもありますが、見逃されてしまうこともあります。視力に関しては、3歳から検査が可能です。

人間の視力は、産まれた直後はぼんやりしか見えず、ものを見ることで脳が刺激されて見る力が育ち、6歳頃に、その力がほぼ完成すると言われています。この脳が発達する期間に、ピントを合わせて鮮明に物を見ることが、脳の見る力を育てるために大変に重要なこととなります。この大切な期間に何らかの原因ではっきりと物を見ることが妨げられると、眼自体には異常がないのに、メガネをかけても視力が上がらない状態になります。これが弱視と呼ばれる状態です。6歳頃までの治療可能な時期を逃すと、その後どのような治療を行っても視力を育てることはできません。将来、運転免許の取得、職業の選択などに影響が出ることもあります。

お子様に以下の行動が見られる場合には受診をしましょう

首をかしげて物をみることがある
よくモノにぶつかる・転びやすい
どちらか一方の眼を隠すとすごく嫌がる

見えにくそうにすることがある
片眼をつむる癖がある

眼の機能の発達にもっとも大切なのは幼児期で、斜視や弱視は家族の方のちょっとした注意で見つけることができます。一度も眼科で検査を受けたことのないお子様や3歳を迎えたお子様は、一度、眼科の受診をしましょう。



斜視とは

普通、ものを見るときには、両方の目が、見ようとするものの方向に向いています。ところが、片側の眼が見ようとするものを見ているにもかかわらず、もう片側の眼が目標と違う方向を向く場合があります。これを斜視といいます。
(※斜視はこどもの2%くらいにみられる病気です。)
斜視は目の位置によって、内斜視、外斜視、上斜視、下斜視にわけられます。


※偽斜視(ぎしゃし)…赤ちゃんは、鼻が低くて、その根元が十分に発達していないために、両方の目の間が広くなっており、白眼の内側が見えない場合があります。外見上は内斜視のように見えますが、本当は斜視ではありません。これを偽斜視といいます。偽斜視は鼻の根元が成長するに従って、内斜視のように見えていたものが、正常に見えるようになります。

 


どうして斜視になるの?
斜視の主な原因として、次のようなものが挙げられます。

目の筋肉や神経などの異常
眼を動かす筋肉や神経にわずかの異常があると、眼の位置がずれ、両眼が一緒に正しくものを見ることができず、斜視になります。
両眼視の異常
遺伝や脳の一部のわずかな異常が原因で、両眼視がうまくできない場合、それぞれの眼がバラバラな方向を見るようになり斜視になります。
遠視
眼はものを見るときにそのものにピントあわせを行います。近くを見るときには、眼は内側によります。遠視では、強くピントあわせを行わないと、はっきりと見えないため、眼はかなり内側によってしまい、斜視(内斜視)になる場合があります。
視力の不良
病気やけがで、片方の眼の視力が悪くなると、両眼視(※)ができず、視力の悪い目が斜視になる場合があります。大抵の場合、その眼は外側(外斜視)を向きます。

※両眼視とは
…2つの眼で見たものを脳で1つにまとめる働きのことです。両眼視ができないと、ものが二重に見えたりするばかりでなく、立体感を感じることもできません。両眼視は生後1年くらいでできるようになり、6歳くらいには完成します。

今回のアドバイス
斜視は両眼の向きが異なるため、少し気をつけると、家族の方が見ても分かります。斜視は早期に治療しないと、弱視やものが二重に見える複視の原因になりますので、斜視に気がついたら、はやく眼科を受診しましょう。